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2018年6月14日 (木)

地域活動からの「おくりもの」

 会社を定年退職した後のことだからもう十数年も前になる。その年、私は私が住んでいる自治会の役員を仰せつかった。足掛け4年、私が住んでいる地元の自治会の役員としてあれこれの地域活動に奔走した。


 十数年前、地元の役員になるまで、私は、地域活動には全くの無関心であった。正しくは、無関心にならざるを得なかった。なぜなら、それまでの私は「会社人間」であり、毎日の活動パターンは、自宅と会社との往復行動以外には無かったからである。そして、それは、私たちの年代であれば、いわゆる「仕事人間」として誰しもが同じ体験を共有した当時の「勤人たち」の風景であったのだ。


 私が住んでいる自治会の組織は以下のとおり。世帯数は、535世帯。その535世帯が地区ごとに10組に分かれている。組はまた、班に分かれている。それぞれ組長、班長が置かれ、執行部は一人の会長と5人の副会長とによって構成されている。毎年、4月29日の昭和の日に、年一回の総会が開催される。そこで、執行部が提案した年度予算と地域の様々の問題が討議される。


 ところで、4年間の地域活動は、あなたにとってプラスの面があったか、マイナスの面があったかと問われれば、私は即座にプラスの面がはるかに大きかったと答える。中でも地元の方々と多く面識を持つことが出来たこと、それは、そうしたプラスの面で最大のものであろう。それまで、「会社人間」として自宅と会社とを往復する以外少しの余裕も無かった私は、地元の方々に知った人を見つけ出すことは少なかった。ところが、地域活動を通してAさんを知った。Bさんを知った。Cさんを知った。あるいは、年始に賀状を寄せてくれるSさんという素晴らしい方を知った。そうした「人物との出逢い」は、地域活動による賜物であり、心安らぐ知己を幾人も私に「贈って」くれたのである。


 それから、地元におけるあちこちの「場所」を覚えることが出来たこと、それも、地域活動による「恩沢」と私は思っている。「会社人間」当時、地元の中で私が知っていた地域は、私が住んでいる地区だけであった。ところが、いま、「N地区」といえば、春には、公園の池の端に数十本の桜の樹が見事な花を咲かせている光景が目に浮かぶ。素敵なせせらぎが流れていて、その両脇の散策道にはきれいなアジサイやアヤメの花が咲き乱れている情景が目に浮かぶ。「F地区」と云えば、樹齢数百年という柊(ひいらぎ)の古木が堂々と真上の空に聳えている光景が目に浮かぶ。また、「T地区」といえば、澄みわたった晩秋の昼下がり、幾本もの柿の木に、たわわに実った数百個の柿の実が、橙色にキラキラ輝いている情景が目に浮かぶ。


 そのように、地元における一つひとつの場所は、いまでは、「地区名」と「地域」が一体となって、私の脳裏に、一段と深みを増してイメージされる。これは、多く、この4年間の地域活動に拠って獲られたものなのだ。とりわけ、季節ごとの行事に参加して行事の当事者として活動したことが大きい。
 例えば、毎年7月中旬に開催される夏祭り。これは、地元の若衆がハッピ姿でエッサエッサと掛け声をかけながら神輿を担いで10組のそれぞれの地域をまわる(お祓いをすませてくれる)。午後の2時に神社の境内をスタートして、夜の11時に戻るのだが、途中、10組のそれぞれの地域には神輿の休憩地があって、神輿を担いでくれる地元の若衆を接待する。お酒、スイカ、枝豆、そば、うどん、おこわ等、そうした料理でそれぞれの地域の人達が疲れた若衆をねぎらうのである。そうした休憩を10組順繰りにやって一巡するのだが、この神輿には、地域の役員は当然ついてまわる。だから、夏祭りの行事に参加すれば、地域のそれぞれの場所は自ずと覚えてしまうのだ。

 この、6月3日の日曜日には、地元の公園で、第10回「アヤメ祭り」が開催された。地元のボランティア団体「アヤメの会」主催によるお祭りで、多くの来園者が、咲き誇るアヤメを眺めながら散策を楽しんだのだった。公園には、手造りの舞台が設営され、獅子舞やひょっとこ踊りやお囃子やのど自慢大会が催され、来園者は桜の樹木の木陰で憩いながら、そうした催しに見入っていたのだった。私も、この地元の「アヤメの会」のメンバーであり、多くの来園者で賑わう「アヤメ祭り」の情景を見守りながら、喜ばしい思いに浸ったのだった。
 詳しくは、→ http://ayamems.c.ooco.jp/


 そうした意味で、地域活動は、私に、その土地で生きていく上で大切なもの、土着的な繋がりのベースとなる「知己」という「贈り物}」と、「土地勘」という「贈り物」、その二つの「おくりもの」をご褒美として届けてくれたのである。


 いま、私は、地元自治会発行の広報誌を編集している。毎月1回、A4サイズの用紙両面を使って、カラーで、地元の月ごとの行事と、四季折々の風物を載せている。広報誌を発行し始めたのは平成22年の5月からであるから、発行を始めて既に8年になる。号数も臨時号も含めてこの6月号をもって142号となった。あと8号で150号となるので、その節には、1冊の本に纏めてみようと思っている。もし、その本の発行が可能になり、一軒一軒の家に配られるならば、その本は、それこそ、このコラムのタイトル通り、地元の人達への、「地域活動からの贈り物」となるだろう。

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